介護施設に見守りシステムの導入を検討しているものの、「何から手をつければ良いか分からない」「計画の立て方が難しい」とお悩みの施設長やご担当者様も多いのではないでしょうか。
見守りシステムは、利用者の安全確保と職員の業務負担軽減に大きく貢献する一方で、その効果を十分に引き出すためには、事前の計画が非常に重要です。行き当たりばったりの導入は、「導入したものの使われない」「期待した効果が得られない」といった失敗に繋がりかねません。
この記事では、見守りシステムの導入を成功させるための「設置計画」について、具体的なステップや注意点を詳しく解説します。計画的な準備を進め、自施設に最適な見守り環境を実現させましょう。
最初に行うべきは、見守りシステムを導入して「何を実現したいのか」を明確にすることです。目的が曖昧なままでは、システム選定の軸がぶれてしまいます。
まずは、施設が現在抱えている課題を洗い出しましょう。例えば、「夜間の巡視業務の負担が大きい」「利用者の転倒・転落リスクを低減したい」「プライバシーに配慮しながら見守りを強化したい」など、具体的な課題をリストアップします。課題を具体的に定義することで、導入するシステムに求める機能もおのずと明確になります。
洗い出した課題すべてを、一つのシステムで一度に解決するのは難しいかもしれません。そのため、リストアップした課題の中から、「最も解決したいこと」は何か、優先順位を設定することが大切です。「職員の負担軽減」を最優先するのか、「利用者の安全確保」を第一に考えるのかによって、選ぶべきシステムや設置計画は変わってきます。
目的が明確になったら、次は施設の現状を正確に把握します。効果的なシステム導入のためには、ハード・ソフト両面の現状分析が欠かせません。
施設の図面を用意し、建物の構造や部屋の配置を確認します。センサーをどこに設置するか、管理室までどのように配線するか、Wi-Fiの電波は全域をカバーできているかなど、物理的な制約や環境を事前にチェックしておくことで、後の設置作業がスムーズに進みます。
利用者が日中どの場所で過ごすことが多いか、夜間の離床はどのくらいの頻度で発生しているか。また、職員の巡視ルートや動線はどのようになっているか。利用者と職員、双方の日常の動きを分析することで、センサーを設置すべき場所や必要な機能がより具体的に見えてきます。
見守りシステムの多くは、Wi-Fiなどのネットワーク環境を必要とします。安定した通信環境が確保できるか、各部屋に十分な数の電源はあるかなど、システムの安定稼働に不可欠なインフラ環境の確認は、必ず行いましょう。必要であれば、導入前に通信環境の増強や電源工事を検討します。
施設内のすべての場所にセンサーを設置するのは、コスト面でも運用の面でも現実的ではありません。リスクの高さや見守りの必要性に応じて、設置エリアの優先順位を決めましょう。
利用者が最も長く過ごす居室は、優先度が高いエリアです。特に夜間の離床やベッドからの転落、体調の急変などをいち早く検知するために重要です。ただし、プライバシーへの配慮も不可欠なため、映像を使わないセンサーやシルエット表示のカメラなどを検討する必要があります。
食堂やリビングなどの共用スペースは、多くの利用者が活動するため、転倒などの事故が発生しやすい場所です。利用者の活動量や滞在時間を考慮し、危険性が高い箇所から優先的に設置を進めましょう。
廊下は転倒リスクのある場所であると同時に、利用者の徘徊や意図しない離設(外出)が起こりうるエリアです。特に玄関は、離設リスクを管理する上で非常に重要なポイントとなります。
トイレや浴室は、プライバシー性が高く、かつ転倒やヒートショックなど命に関わる事故のリスクが特に高い場所です。人感センサーや滞在時間を検知するシステムなど、利用者のプライバシーに最大限配慮した方法での見守りを検討することが求められます。
施設の課題と現状、優先すべきエリアが明確になったら、いよいよ具体的なシステムの選定に入ります。
これまでの分析結果をもとに、自施設に「本当に必要な機能」をリストアップします。「バイタルサイン(心拍・呼吸)の測定」「ベッドからの離床検知」「映像による様子の確認」「スマートフォンへの通知機能」など、優先順位の高い課題を解決できる機能を整理しましょう。
見守りシステムには、ベッドマットレスの下に敷くシート型センサー、壁や天井に設置する非接触型センサー、カメラ型、ウェアラブル型など、様々な種類があります。それぞれのシステムの特徴、メリット・デメリットを理解し、施設の目的や利用者の状況に合ったものを選びます。
導入するシステムが決まったら、実際の設置から運用開始までの具体的な手順を計画します。
本格的な設置作業に入る前に、職員への説明会を実施し、システムの目的や操作方法について情報共有を行います。また、利用者本人やそのご家族に対しても、なぜシステムを導入するのか、どのような仕組みなのかを丁寧に説明し、理解と同意を得ることは、信頼関係を維持する上で非常に重要です。
いきなり全館に導入するのではなく、まずは一部の居室やエリアで限定的にテスト運用を行うことをお勧めします。実際に使ってみることで、「通知が多すぎる」「この場所ではセンサーが反応しにくい」といった、計画段階では見えなかった課題を発見できます。
テスト運用で得た知見を反映し、いよいよ本設置です。当日の作業が円滑に進むよう、業者としっかり連携しましょう。
工事当日は、改めて業者と最終的な設置場所や配線ルートを確認します。作業スペースの確保や、設置場所周辺の備品を移動させるなど、事前の準備をしておくと作業がスムーズです。
システムの設置は、専門の業者に依頼するのが一般的です。施設の状況をよく理解している業者であれば、より効果的な設置方法を提案してくれることもあります。
すべての機器の設置が完了したら、必ず試運転を行います。センサーが正常に作動するか、管理用のPCやスマートフォンに情報が正しく表示されるか、アラートは鳴るかなど、業者の担当者と一緒に一つひとつ動作確認をしましょう。
見守りシステムは、設置して終わりではありません。継続的に活用し、改善を重ねていくことで、その価値を最大限に高めることができます。
「誰が、いつ、どのようにシステムをチェックするのか」「アラートが発生した場合、誰が、どのような手順で対応するのか」といった、具体的な運用ルールを明確に定めておく必要があります。ルールが曖昧だと、いざという時に迅速な対応ができません。
導入後も、「期待した効果は出ているか」「運用上の問題点はないか」などを評価するため、定期的に関係者で集まりレビューを行う機会を設けましょう。利用者の状況変化に合わせて、設定の見直しや改善点の洗い出しを行います。
システムの性能を維持し、安全に使い続けるためには、ソフトウェアのアップデートや機器の定期的なメンテナンスが不可欠です。メーカーや販売店のサポート体制を確認し、継続的な保守計画を立てておきましょう。
導入計画において、コストの把握は避けて通れません。初期費用だけでなく、長期的な視点で費用を考えることが重要です。
機器本体の購入費用や、設置工事にかかる費用です。導入するシステムの規模や種類によって大きく変動します。補助金を活用できる場合もあるため、事前に情報を収集しておきましょう。
月額のシステム利用料や保守費用、通信費など、運用を続ける上で継続的に発生するコストです。初期コストだけでなく、この維持費(ランニングコスト)も考慮して、長期的な資金計画を立てることが失敗しないためのポイントです。
システムを導入し、施設全体で有効に活用していくための最後の仕上げです。
一部の職員しかシステムを使いこなせない、という状況では意味がありません。全職員が基本的な操作を理解し、情報を活用できるよう、定期的な研修や勉強会を開催することが大切です。職員のITリテラシーに差があることも考慮し、分かりやすいマニュアルを作成するなどの工夫も有効です。
設置前の説明だけでなく、導入後も利用者家族とのコミュニケーションは重要です。システムによってどのように見守りが行われているかを伝え、安心感を醸成することで、施設への信頼にも繋がります。
「センサーが反応しない」「管理画面にログインできない」といったトラブルは起こりうるものです。問題が発生した際の連絡先や対応手順をマニュアル化し、職員間で共有しておくことで、慌てず冷静に対処できます。
施設向け見守りシステムの導入は、今や介護現場の質を向上させるための重要な一手です。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、事前の周到な準備が欠かせません。
今回解説したように、「目的の明確化」から始まり、「現状把握」「システム選定」「運用計画」に至るまで、一つひとつのステップを丁寧に進めることが、導入の成功を左右します。
見守りシステムは導入すればどれも同じ効果が得られるわけではなく、施設の環境や入居者の状態、運用方針によって、選ぶべきシステムも変わります。そこで本サイトでは、それぞれの現場にフィットする見守りシステムを厳選し、おすすめのポイントとともに紹介しています。併せて参考にしてください。
入居者が寝たきりの方か、比較的元気な方かによって、必要な見守りシステムの機能は異なります。そのため、施設が受け入れている入居者に応じたシステムを選ぶことが大切です。ここでは、施設の種類ごとにおすすめの施設向け見守りシステムをご紹介します。

| 通知方法 | PC・スマートフォン・タブレット |
|---|---|
| センサーの 設置方法 |
センサーマットをベッド上に敷く |

| 通知方法 | スマートフォン・タブレット |
|---|---|
| センサーの 設置方法 |
居室内のベッドが見通せる壁または天井に専用アタッチメントで取り付け |

| 通知方法 | PC・スマートフォン |
|---|---|
| センサーの 設置方法 |
両面テープやネジで取り付け |
※参考用に心拍及び呼吸状況の表示が可能ですが、心拍計、呼吸計の代用はできません。