せん妄ケアの重要性と医療・介護現場での対策

目次

せん妄とは?認知症との違い

せん妄とは、急激に意識や認知機能が変化する一過性の精神症状のことを指します。特に高齢者や入院患者に多く見られ、短期間のうちに症状が現れたり、時間帯によって状態が大きく変動したりするのが特徴です。

せん妄の主な症状(注意力の低下、幻覚、妄想など)

せん妄の症状は多岐にわたりますが、代表的なものとして注意力の低下、見当識障害、幻覚、妄想、興奮や不安などが挙げられます。周囲の話に集中できなくなったり、実際には存在しないものが見えたり聞こえたりすることで、本人や周囲が強い混乱に陥るケースも少なくありません。

せん妄の3つのタイプ(過活動型・低活動型・混合型)

せん妄は症状の現れ方によって、大きく3つのタイプに分けられます。

過活動型は興奮や徘徊、暴言などが目立つタイプで、周囲が気付きやすい反面、事故のリスクも高くなります。一方、低活動型は傾眠傾向や反応の鈍さが特徴で、見逃されやすい点が課題です。これらが混在する混合型も多く、時間帯によって症状が変化することもあります。

間違いやすい「認知症」との根本的な違い

せん妄と認知症は混同されがちですが、根本的な違いがあります。認知症はゆっくりと進行する慢性的な疾患であるのに対し、せん妄は急激に発症し、原因を取り除くことで改善が期待できる状態です。そのため、早期発見と適切な対応が非常に重要となります。

せん妄を引き起こす主な原因

せん妄の発症には、複数の要因が複雑に関係しています。原因を正しく理解することで、予防や早期対応につなげることができます。

直接因子(薬剤、感染症、手術など)

せん妄の引き金となる直接因子には、薬剤の副作用、感染症、手術や麻酔による身体的ストレスなどがあります。特に複数の薬を服用している高齢者では、薬剤性せん妄のリスクが高まります。

準備因子(高齢、認知機能の低下など)

高齢であることや、もともとの認知機能の低下、視力・聴力の低下などは、せん妄を起こしやすい土台となる要因です。これらの準備因子を持つ方は、わずかなきっかけでもせん妄を発症する可能性があります。

誘発因子(環境の変化、身体的苦痛、拘束など)

入院や施設入所による環境の変化、痛みや不快感、身体拘束などもせん妄を誘発する要因です。慣れない環境や自由が制限される状況は、強い不安や混乱を招きやすくなります。

現場で明日から使える!せん妄の具体的なケアと対応

基本方針: まずは安心できる環境づくりから

せん妄ケアの基本は、患者さんが安心して過ごせる環境を整えることです。過度な刺激を避け、不安を軽減することが症状の悪化防止につながります。

環境調整のポイント:

昼夜のメリハリをつける(日中は明るく、夜は暗く静かに)

昼間はカーテンを開けて自然光を取り入れ、夜間は照明を落として静かな環境を保つことで、生活リズムの乱れを防ぎます。

カレンダーや時計、使い慣れたものを置く

日付や時間が分かるカレンダーや時計、本人にとって馴染みのある私物を置くことで、見当識障害の軽減が期待できます。

安全の確保(危険物の撤去)

転倒や事故を防ぐため、床の障害物や危険物を取り除き、安全に動ける環境を整えることが重要です。

コミュニケーションのコツ:

穏やかな口調で、短く分かりやすい言葉を選ぶ

一度に多くの情報を伝えず、簡潔で分かりやすい声かけを心がけます。

患者さんの話に耳を傾け、否定しない

幻覚や妄想があっても頭ごなしに否定せず、気持ちに寄り添う姿勢が安心感につながります。

見当識をサポートする声かけ(「今は朝ですよ」など)

現在の状況を優しく伝えることで、混乱の軽減を図ります。

身体的苦痛の緩和: 痛み、空腹、排泄の欲求などに対応する

痛みや不快感、排泄の我慢などはせん妄を悪化させる要因となります。こまめな観察と対応が重要です。

せん妄を予防するためにできること

リスクの早期評価

入院時や入所時にリスク評価を行い、せん妄を起こしやすい方を把握しておくことが予防の第一歩です。

水分補給や栄養管理

脱水や低栄養はせん妄の大きなリスク因子です。日常的な水分・栄養管理が欠かせません。

日中の離床や適度な活動の促進

日中に体を動かすことで夜間の睡眠が促され、生活リズムの安定につながります。

ケアの負担軽減と安全性向上に役立つ「見守りシステム」の活用

ここまで紹介してきたせん妄ケアは非常に重要ですが、24時間体制での見守りを人の目だけで行うことには限界があります。特に夜間は職員数が少なく、転倒や徘徊といったリスクが高まる時間帯です。

こうした現場の課題を補完する手段として、見守りシステムの活用が注目されています。

せん妄ケアにおける役割(転倒予防、状態変化の早期発見など)

見守りシステムを活用することで、離床や転倒の兆候を早期に検知し、事故を未然に防ぐことが可能になります。また、状態変化に素早く気付けるため、適切なケアにつなげやすくなります。

せん妄ケアに特化した
見守りシステムの導入事例

転倒を繰り返す方の転倒事故を
効果的に予防

これまで何度も転倒を繰り返していた方にANSIELを設置したところ、起き上がった時点で通知してくれたため、立ち上がり前に駆け付けができ、事故を未然に防ぐことができました。また、今後の活用にも大きな期待をしています。

引用元:積水化学工業公式サイト(https://s-ansiel.com/review/interview/interview_211109.php)

センサー+カメラで優先順位の
判断もできる

「福祉の森見守りシステム」のアラートが鳴ると、職員は直ちにスマートフォンで居室の映像を確認します。

入居者さまの中には、床にしゃがみ込む、ベッドのうえに立ち上がる、などの行為を取る方もいますが、映像で状況を確認することで、訪室の必要性や作業が重なった場合の優先順位の判断が行えるようになり、職員は余裕を持って事前対処や駆けつけが行えるようになりました。

引用元:日立システムズ公式サイト(https://www.hitachi-systems.com/ind/fukushinomori/case/case05/)

福祉の森見守りシステムの
詳細をみる

見守りシステム導入による
メリットと課題

せん妄ケアの見守りシステムは、病院や施設などで職員の業務負担の軽減や利用者の安全確保に大きく貢献してくれるシステムです。

ただし、見守りシステムを導入する目的や施設環境、運用方針などにマッチしたシステムを選定しないと、費用対効果に合わない、システム操作が煩雑などで業務負担が増えてしまう可能性もあります。

そのため、複数のシステムからしっかりと比較検討するほか、病院や施設の状況に合わせてシステム設計ができる見守りシステムの導入を検討すると良いでしょう。

見守りシステム選定時の
ポイント

見守りシステムを選定する場合、一番重要なのが「施設の環境に合わせたシステムを選ぶ」ということです。

続いて、自動でデータを記録できる機能や、通知機能などが充実しているシステムを選ぶことで、職員の負担軽減、業務効率化を図ることができます。

他にも、シルエットカメラやセンサーの設置位置を設計できるシステムなど、利用者のプライバシーを保護できる機能があるかなどもチェックしてみると良いでしょう。

まとめ

せん妄は、進行してしまうと利用者本人だけでなく介護者にも大きな負担となります。そのため、せん妄ケアに効果的で、かつ職員の業務負担を軽減できる見守りシステムは、職員・利用者双方にとって大きなメリットと言えるでしょう。

導入施設別
施設向け見守りシステムのおすすめ3選

入居者が寝たきりの方か、比較的元気な方かによって、必要な見守りシステムの機能は異なります。そのため、施設が受け入れている入居者に応じたシステムを選ぶことが大切です。ここでは、施設の種類ごとにおすすめの施設向け見守りシステムをご紹介します。

寝たきりの方が過ごす
慢性期病院・特養向け
   
エクセルエンジニアリングの
見守りシステム
(エクセルエンジニアリング)
エクセルエンジニアリング公式HP
引用元:エクセルエンジニアリング公式HP
(https://www.excel-jpn.com/system/)
  • ベッド上のセンサーマットによる高精度なバイタルデータで、異常を早期に検知(※)し、突然の体調不良などによる事故を未然に防げる
  • 240個の体圧センサーが体圧分布を計測し、体位変換のタイミングを通知。不要な訪室を減らし、介護者の負担を軽減させる
通知方法 PC・スマートフォン・タブレット
センサーの
設置方法
センサーマットをベッド上に敷く
   
認知症高齢者が過ごす
グループホーム向け
Neos+Care(ネオスケア)
(ノーリツプレシジョン)
Neos+Care公式HP
引用元:Neos+Care公式HP
(https://neoscare.noritsu-precision.com/)
       
  • 居室内の行動を広く検知し、ベッド外での転倒やうずくまり等を通知。入居者の危険な行動を早期に検知・対策できる
  • シルエット動画によって、適切な訪室判断と入居者の尊厳遵守を両立させ、入居者家族の安心感を得られる
通知方法 スマートフォン・タブレット
センサーの
設置方法
居室内のベッドが見通せる壁または天井に専用アタッチメントで取り付け
自立した高齢者が過ごす
サ高住向け
いまイルモ
(ソルクシーズ)
いまイルモ公式HP
引用元:いまイルモ公式HP
(https://www.imairumo.com/)
  • 起床・就寝・トイレ回数など全居室の状況がPCで一覧表示され、スタッフが不在の夜間でも安否確認がしやすい
  • カメラを使わず、動き・温湿度・照度の異常を検知する複合センサーのため、入居者に監視感を与えない
通知方法 PC・スマートフォン
センサーの
設置方法
両面テープやネジで取り付け

※参考用に心拍及び呼吸状況の表示が可能ですが、心拍計、呼吸計の代用はできません。

導入施設で選ぶ 施設向け見守りシステム3選