せん妄とは、急激に意識や認知機能が変化する一過性の精神症状のことを指します。特に高齢者や入院患者に多く見られ、短期間のうちに症状が現れたり、時間帯によって状態が大きく変動したりするのが特徴です。
せん妄の症状は多岐にわたりますが、代表的なものとして注意力の低下、見当識障害、幻覚、妄想、興奮や不安などが挙げられます。周囲の話に集中できなくなったり、実際には存在しないものが見えたり聞こえたりすることで、本人や周囲が強い混乱に陥るケースも少なくありません。
せん妄は症状の現れ方によって、大きく3つのタイプに分けられます。
過活動型は興奮や徘徊、暴言などが目立つタイプで、周囲が気付きやすい反面、事故のリスクも高くなります。一方、低活動型は傾眠傾向や反応の鈍さが特徴で、見逃されやすい点が課題です。これらが混在する混合型も多く、時間帯によって症状が変化することもあります。
せん妄と認知症は混同されがちですが、根本的な違いがあります。認知症はゆっくりと進行する慢性的な疾患であるのに対し、せん妄は急激に発症し、原因を取り除くことで改善が期待できる状態です。そのため、早期発見と適切な対応が非常に重要となります。
せん妄の発症には、複数の要因が複雑に関係しています。原因を正しく理解することで、予防や早期対応につなげることができます。
せん妄の引き金となる直接因子には、薬剤の副作用、感染症、手術や麻酔による身体的ストレスなどがあります。特に複数の薬を服用している高齢者では、薬剤性せん妄のリスクが高まります。
高齢であることや、もともとの認知機能の低下、視力・聴力の低下などは、せん妄を起こしやすい土台となる要因です。これらの準備因子を持つ方は、わずかなきっかけでもせん妄を発症する可能性があります。
入院や施設入所による環境の変化、痛みや不快感、身体拘束などもせん妄を誘発する要因です。慣れない環境や自由が制限される状況は、強い不安や混乱を招きやすくなります。
せん妄ケアの基本は、患者さんが安心して過ごせる環境を整えることです。過度な刺激を避け、不安を軽減することが症状の悪化防止につながります。
昼間はカーテンを開けて自然光を取り入れ、夜間は照明を落として静かな環境を保つことで、生活リズムの乱れを防ぎます。
日付や時間が分かるカレンダーや時計、本人にとって馴染みのある私物を置くことで、見当識障害の軽減が期待できます。
転倒や事故を防ぐため、床の障害物や危険物を取り除き、安全に動ける環境を整えることが重要です。
一度に多くの情報を伝えず、簡潔で分かりやすい声かけを心がけます。
幻覚や妄想があっても頭ごなしに否定せず、気持ちに寄り添う姿勢が安心感につながります。
現在の状況を優しく伝えることで、混乱の軽減を図ります。
痛みや不快感、排泄の我慢などはせん妄を悪化させる要因となります。こまめな観察と対応が重要です。
入院時や入所時にリスク評価を行い、せん妄を起こしやすい方を把握しておくことが予防の第一歩です。
脱水や低栄養はせん妄の大きなリスク因子です。日常的な水分・栄養管理が欠かせません。
日中に体を動かすことで夜間の睡眠が促され、生活リズムの安定につながります。
ここまで紹介してきたせん妄ケアは非常に重要ですが、24時間体制での見守りを人の目だけで行うことには限界があります。特に夜間は職員数が少なく、転倒や徘徊といったリスクが高まる時間帯です。
こうした現場の課題を補完する手段として、見守りシステムの活用が注目されています。
見守りシステムを活用することで、離床や転倒の兆候を早期に検知し、事故を未然に防ぐことが可能になります。また、状態変化に素早く気付けるため、適切なケアにつなげやすくなります。
これまで何度も転倒を繰り返していた方にANSIELを設置したところ、起き上がった時点で通知してくれたため、立ち上がり前に駆け付けができ、事故を未然に防ぐことができました。また、今後の活用にも大きな期待をしています。
「福祉の森見守りシステム」のアラートが鳴ると、職員は直ちにスマートフォンで居室の映像を確認します。
入居者さまの中には、床にしゃがみ込む、ベッドのうえに立ち上がる、などの行為を取る方もいますが、映像で状況を確認することで、訪室の必要性や作業が重なった場合の優先順位の判断が行えるようになり、職員は余裕を持って事前対処や駆けつけが行えるようになりました。
せん妄ケアの見守りシステムは、病院や施設などで職員の業務負担の軽減や利用者の安全確保に大きく貢献してくれるシステムです。
ただし、見守りシステムを導入する目的や施設環境、運用方針などにマッチしたシステムを選定しないと、費用対効果に合わない、システム操作が煩雑などで業務負担が増えてしまう可能性もあります。
そのため、複数のシステムからしっかりと比較検討するほか、病院や施設の状況に合わせてシステム設計ができる見守りシステムの導入を検討すると良いでしょう。
見守りシステムを選定する場合、一番重要なのが「施設の環境に合わせたシステムを選ぶ」ということです。
続いて、自動でデータを記録できる機能や、通知機能などが充実しているシステムを選ぶことで、職員の負担軽減、業務効率化を図ることができます。
他にも、シルエットカメラやセンサーの設置位置を設計できるシステムなど、利用者のプライバシーを保護できる機能があるかなどもチェックしてみると良いでしょう。
せん妄は、進行してしまうと利用者本人だけでなく介護者にも大きな負担となります。そのため、せん妄ケアに効果的で、かつ職員の業務負担を軽減できる見守りシステムは、職員・利用者双方にとって大きなメリットと言えるでしょう。
入居者が寝たきりの方か、比較的元気な方かによって、必要な見守りシステムの機能は異なります。そのため、施設が受け入れている入居者に応じたシステムを選ぶことが大切です。ここでは、施設の種類ごとにおすすめの施設向け見守りシステムをご紹介します。

| 通知方法 | PC・スマートフォン・タブレット |
|---|---|
| センサーの 設置方法 |
センサーマットをベッド上に敷く |

| 通知方法 | スマートフォン・タブレット |
|---|---|
| センサーの 設置方法 |
居室内のベッドが見通せる壁または天井に専用アタッチメントで取り付け |

| 通知方法 | PC・スマートフォン |
|---|---|
| センサーの 設置方法 |
両面テープやネジで取り付け |
※参考用に心拍及び呼吸状況の表示が可能ですが、心拍計、呼吸計の代用はできません。